「エディブル・スクールヤード」とは、学校の校庭や敷地内に作られた菜園（食べられる校庭）で、作物を育て、収穫し、調理して食べることを通して、生命のつながりや持続可能な生き方を学ぶ教育プログラムです。これは「エディブル・エデュケーション」という教育の考え方に基づき、単なる食育を超え、教科の学びと統合しながら、子どもたちの人間的な成長を促します。

そして目に飛び込んできた“奇跡の一致”

作業場所に向かうと、思わず息をのむ光景が目の前に広がりました。なんと私が尊敬するパーマカルチャー実践者、四井真治（よついしんじ）さんの「堆肥枠」が置かれていたのです。

さらに驚きは続きました。なんと、Co-coyaを運営する春江さんも、エディブルスクールヤード・ヨコハマを運営する理紗さんも、私と同じく四井さんのもとで学んだ「未来の暮らし研究所」1期生の同期だったのです。それを知った瞬間、胸の奥がじんわりと熱くなりました。私はここに来るべくして導かれたのだと。自然界の菌糸ネットワークのように見えない導線が私を里山へ連れてきてくれたことを確信しました。

里山のお世話と、土の中の“科学的なつながり”

この日の作業は、斜面にある植栽の一番下を平面に整え、そこに柵を組んで今年の堆肥を入れることでした。太い枝を地面に差し込んだあと、支柱と土の隙間へ細かい炭をさらさらと流し込みます。

多孔質構造をもつ炭は、微生物の住処になります。その中で菌類や細菌が繁殖し、根圏のネットワークを豊かにしていきます。
これはパーマカルチャーの原則「多様性をデザインに取り入れる」「小さな工夫を積み重ね、大きな変化へつなげる」そのものです。人間の手で少し整えると、地下では微生物たちがダイナミックに動き出し、土がふっくらと再生していく。私たちが“お世話をしている”のではなく、微生物が私たちに土の営みを教えてくれている感覚さえありました。

コミュニティは菌糸のように広がっていく

参加者みんなが自然を愛し、未来の子どもたちにつなげたいという想いを持っている。それはまさに、森の木々をつなぐ菌糸のようです。誰かの経験が誰かの学びになり、誰かの気づきが別の誰かの勇気になります。

私は改めて、エディブル・スクールヤードのコミュニティを広げたいと強く思いました。土の営みを知り、微生物の世界を感じ、自然と人が共に育ち合う場所をつくりたいと。四井さんの堆肥枠に出会い、春枝さんと里紗さんが同期だと知り、すべての点が菌糸のようにつながった今日。これは偶然ではなく、未来への“発酵のはじまり”だと感じました。今日の出会いも学びも、土の中で静かに息づき始めた微生物たちも、すべてがこれからの活動の土台になっていきます。