【援農日誌】ひさしぶりの土の匂い。「不耕起栽培」に込めた未来への想い
目次
畑は、頑張りすぎた心身を優しく「調律」してくれる場所です

ども。
今日も暮らし方探求中のDadです。
久しぶりの援農は単なる作業のお手伝い以上に、バラバラになりかけていた自分自身の心と体をそっと繋ぎ直してくれる「癒やしの時間」になりました。
デジタルな世界で頭をフル回転させた後は、どうしても感覚がどこか浮ついてしまうものです。そんな時、土の重みに触れ、季節の風を感じることで、ようやく自分の中の時計の針が正しいリズムで刻み始めるのを感じました。畑という場所は、私たち現代人にとって、乱れた心身を元の場所へと戻してくれる「調律の場」だなぁと改めて強く実感しています。
デジタルな毎日に、体が「待った」をかけてくれたのかもしれません
なぜ、これほどまでに畑の時間を愛おしく感じたのか。それは、この1ヶ月半の間に溜まった「心の疲れ」が、予想もしない形で体に現れていたからです。
実は、約3ヶ月かけて準備してきたオンライン無料講座を無事に終えた途端、奥歯に突き刺すような激痛が走り、夜も眠れないほどになってしまいました。きっと、ずっと気が張っていて、体が必死に耐えてくれていたのでしょうね。やり遂げたという安堵感とともに、張り詰めていた糸がプツリと切れたのかもしれません。
当日の午前中に歯医者さんに駆け込み、処置を終えてから待ち合わせ場所へ向かったのですが、麻酔が切れるとともに、また激しい痛みが戻ってきてしまいました。話したいことは山ほどあるのに、言葉を発することさえ辛い。そんな、少し心細いコンディションでのスタートでした。

畑の恵みに癒やされたひとときと、未来への挑戦
そんな私を包み込んでくれたのが、貴山農園の豊かな自然と、援農仲間Fさんからの教えでした。
ヨモギが教えてくれた、足元の癒やし
畑に着いて僕の様子を見た、東洋医学に詳しい鍼灸師のFさんが、「ヨモギの葉をかじると痛みが和らぎますよ」と優しく教えてくれました。さっそく畔(あぜ)にたくさん生えていたヨモギを摘み、口に含んでみました。
口いっぱいに広がる、春特有の力強い苦味。すると、あんなに苦しめていたズキズキとした痛みが、その苦味と一緒に、少しずつ、ゆっくりと溶けていくのが分かりました。処方された鎮痛剤では消せなかった激痛が、足元に当たり前に生えている雑草の力が痛みを和らげてくれました。
春の手触りを感じる収穫
痛みが落ち着いてからは、畑の土と空気を感じながら作業に取り組みました。
まずは菜の花の収穫とパッキングから始まりました。黄色の花びらが春の陽光を浴びてキラキラと輝く様子は、見ているだけで心が明るくなります。一つひとつ丁寧に摘み取り、袋に詰めていく作業は、とても爽やかな気持ちになれる時間でした。
続いて大根の収穫を数本しました。有機で大きく育った大根は数本でケースいっぱいになりました。その後ハウス畑へ移動し、初お目見えの野菜洗浄機で大根に着いた土はあっという間に覗かれました。まさに文明の知恵です。最後に里芋を掘り起こす頃、日が暮れてきてこの日は作業終了です。

「憂いていても仕方がない」未来を作る農家の覚悟
作業を終え、駅まで送っていただく車中で伺った山本さんのお話が、深く心に響きました。 「今年は、夏野菜のほとんどを『不耕起栽培』に切り替えてみようと思っている」という挑戦のお話です。
近年の気候変動による極端な暑さは、これまでのやり方では野菜たちが耐えきれないレベルになっています。山本さんは、「一時的に収穫が減ったとしても、この気候変動に耐えられる『土』を今から育てていかなければならない。それが野菜や土にとって一番いいことだと信じているから」と、穏やかながらも揺るぎない口調で仰いました。
今の状況をただ嘆くのではなく、10年、20年先の未来のために今できる最善を尽くす。その勇気ある一歩に、僕自身もたくさんの刺激と勇気をいただきました。

変化を恐れず、自分自身の「土壌」をゆっくり育てていきたい
今回の援農を通じて改めて感じたのは、私たち人間も野菜と同じように、まずは自分という「土台」を整えることが大切だということです。
奥歯の痛みは、「少し立ち止まって、自分を見つめ直して」という体からの優しいメッセージだったのかもしれません。そして、山本さんの新しい挑戦は、「環境が変わっても、自分なりに根を張り直せばいいんだ」という力強い希望を私に与えてくれました。
思い通りにいかない自然を相手に、知恵を出し合い、寄り添いながら暮らす。このシンプルで力強い営みの中にこそ、私たちが忘れてはいけない大切な答えが詰まっている気がします。
心身ともに、また一歩、自然に近いところへ戻れたような気がしています。この春の土の感触を力に変えて、また明日から、一歩ずつ進んでいけそうです。
ではまた。


